『EPIC OF PLEIADES(エピック・オブ・プレアデス)』LARP 演技戦闘(DCS)ルール

写真撮影 : ほしくず堂 @raywell

『EPIC OF PLEIADES(エピック・オブ・プレアデス)』(以後EoP)では、LARP武器を使用した、直接相手への接触を伴う戦闘行為及び判定群の事を「接触型演技戦闘判定システム」『Direct contact Combat System』(略称:DCS)と呼称する。俗称として「演技戦闘*」とも呼ぶ。本文においても、演技戦闘と表記する。

以下に、『EoP』における「演技戦闘」のルールを記載する。

※(筆者註)演技戦闘への筆者の思い
我々は、「安全に殺し合う」のである。

※(筆者註)戦闘判定の分類
LARPにおける戦闘判定の行い方の表記としては、2018年の現在においてはまだまだ十分な分類表記の仕方が定まっていない。本文ではDCSやNCSなどの表記を行い「接触する」「接触しない」を分類の基準としているが、将来的には「戦闘を演技する過程の中で、物理的にヒットしたかどうかで判定する」や「ルールに基づいて論理的に命中やダメージの計算をし、結果を演技する」など、『物理判定型』『論理判定型』などといった概念を、筆者は提唱している。

DCS 演技戦闘ルール

用語解説

  • ヒット=演技戦闘において、攻撃側が防御側に打撃を与えること。
  • HP=ヒットポイント:ゲーム的なキャラクターの耐久性の表現。有効な1ヒットに対し、1HPが減少される。
  • PL=プレイヤー:LARPにおける全ての参加者の総称。また、参加者本人の身体や精神、人格などを指し示す場合もある。
  • PC=プレイヤーキャラクター:LARPにおける全てのキャラクターの総称。PLの身体、精神、人格とは切り離された別個の存在として扱われる。

※(筆者註)EoPにおけるHPは、筆者のイメージとしては「キャラクターとして致命的な負傷を受けないように「避ける」「鎧の硬い部位で防ぐ」「かすり傷で済ませる」などの『対処がキャラクターとして出来る体力』だと言える。つまりHPが0の状態は、キャラクターとしては精魂尽き果て次の一撃を貰えば「致命的な一撃」を受ける状態である。

ダメージ概念

演技戦闘におけるダメージの基本は1ヒット=1ダメージだ。

理由としては極限状態に近い戦闘時において相手の武器の長大さ等によるダメージ種別の違いなどを認識・処理しづらいといった事がある。

本ルールでは武器を振る行為者を、「攻撃側」。攻撃側ではない者を「防御側」。と定義する。

※(筆者註)武器の大きさ、小ささによって、ダメージの増減をしたいといった欲求は、筆者にもある。しかしながら、筆者の経験としてそういったダメージ種別をリアルタイムに殴り合うやり取りをする時に判別することは「プレイヤーを疲れさせてしまう」ため、1ヒット=1ダメージの概念を採用している。

※(筆者註)攻撃側と防御側の定義については、それらが一瞬のうちに入れ替わる。又は同時に発生するなどの「判断が困難な状況」がしばしば訪れるだろう。リアルタイムに状況が変化する戦闘場面においてそれらを完全に規定する事はできないし、していない。正直に言えば筆者はその現場に立ち会ったプレイヤー諸氏の叡智と善意を前提として本ルールを設定している。

禁止行為の設定

☆禁止部位への攻撃の禁止

演技戦闘では、安全上の理由からヒットさせる事を禁止している体の部位が存在する。禁止されている部位に恣意的に攻撃してはならず、禁止部位に命中したヒットは無効とされる。防御側は、禁止部位で恣意的にヒットを防御してはならない。

  • 頭:首から上の部位を頭とする。人体において重要な器官が多数あるため最も守られなくてはならない部位だ。
  • 手:手首から指先までの部位を手とする。怪我等すれば、日常生活の様々な場面に支障をきたすため、守られるべき部位だ。
  • 足:足首から指先までの部位を足とする。怪我等すれば、日常生活の様々な場面に支障をきたすため、守られるべき部位だ。
  • 股間:鼠蹊部(そけいぶ)は性差なく守られるべき部位だ。
☆突き行為の禁止

武器の構造上、特に劣化したLARP武器で突き等をした場合、緩衝材を突き抜けて芯材が人体に突き刺さる可能性があるため、突き行為そのものを禁止する。

☆LARP武器以外での物理的接触の禁止

演技戦闘中においては、LARP武器以外での他者への物理的な接触行為全般を禁止する。具体的な行為の例として、タックル・パンチ・投げ飛ばしなどである。

☆傷・痛みを与えることの禁止

あくまでもPL同士は共にLARPを遊んでいる仲間であり、互いに実際の傷を与えてはならない。ここでいう傷とは、打撲傷、切り傷、擦り傷等、外見的に明らかなものの他、耐えがたい痛みなどを含む目に見えない肉体的なもの。心理的圧迫や抑圧、暴言等による心的なものも含まれる。どちらの要素にしても、「PLではなくPCに与えられている事象である」という了解が得られるようにしなければならない。

有効打撃の設定

安全性や演技性、ルール上のバランスなどの観点から、有効となるヒットを定める。

☆十分な振り幅をとったヒット

演技戦闘において、有効打撃とするためにはヒットへ至る一連の動作において武器の振り幅を十分にとるべきだ。

武器の振り幅とは、武器の先端部が弧を描くようにして振る幅のことを意味し、十分とされる幅は武器の末端から末端(直線的な長さ)までの長さを基準にする。

例えば、握りの末端から切っ先までの長さが1mの剣で有効なヒットを振るう為には、1m以上の弧を描いた振り幅を作って相手にヒットを与えなくてはならない。十分に振られていないと判断されるヒットは無効とされる可能性が高い。

極端な例として鎌のような武器の場合は、鎌の切っ先ではなく直線的に最も端にある部位と、握りの末端との長さを基準とする。

☆武器の性質、重さを表現したヒット

LARP武器は実際の武器に比べて軽い。そのため、実際の重さであれば不可能な挙動も可能となってしまうため注意が必要だ。演技戦闘においては、手に持っている武器の性質や重さを表現することも大切な要素になってくるため、使用者は武器の性質や重さを武器を振るう際に演技する心構えを持って欲しい、『EoP』における演技戦闘は『競技ではない』、『演技する』ことが大切だ。演技しきれていないと判断されるヒットは無効とされる可能性が高い。

例えば、人の身長よりも巨大な鉄塊のような両手剣をさも軽々と扱う事は人間キャラクターには不可能であり、それに準じるように重量感のある武器は武器の振り始め、振る最中、振り終わりにその重量感を適切に表現(振り始めに時間がかかる、切り返しができない、振り切った後に持ち上げる動作を伴うなど)するべきだ。

仮に扱う存在が巨人族やそれに準じる膂力の高い種族であった場合、長大な武器についても軽々と扱う事をしても良いだろう。

無効打撃の設定

安全性や演技性、ルール上のバランスなどの観点から、防御側が無効とできるヒットが存在する。

  • 振りが十分でない*ヒット
    (*どの程度振れば良いのか? 難しい質問ではあるが、武器の切っ先が半円を描く程度に振られていれば、文句なく十分である。)
  • 武器の性質、重さを表現しきれていないヒット
  • 苦痛を受けたヒット
  • 禁止行為を伴ったヒット*
    (*本ルールによって禁止された行為に加えて、LARPイベントの主催者が定めた禁止行為も含まれる。)

上記4点の判断は『防御側』が行う。判断基準は「有効打撃の設定」の項目を参照し、有効ではないと判断したなら無効と扱って良い。

打撃の防御方法

演技戦闘において、いくつかの手段で防御側は攻撃を防御することができる。

☆武器や盾による防御

防御側は、手に持ったLARP武器や盾を攻撃側の武器に対して遮ったりなどして防御する事ができる。一度、防御側の武器や盾により遮られた攻撃側の武器が、その一連の動作の中で防御側PLに触れた場合、無効な打撃として扱って良い。

※攻撃を遮るために振った武器や盾が、勢い余って攻撃側の禁止部位などにヒットしないよう、注意を払うこと。

盾の破壊方法

盾は強力な防御手段であるが、その破壊のためのルールが定められている。武闘魔法のスペル「シールドブレイク」を用いることによって盾のHPを減少させる事ができる。盾のHPが0になったならばその盾は破壊される。(盾についてはEoP61Pを参照)

ヒットの自己申告制度

打撃に対してヒットを受けたかどうかは、防御側の自己申告制とする。人間の処理能力には限界があり、防御側の限界を超えたダメージ処理をさせるべきではないからだ。

この自己申告制度は人間の善意を前提としており、悪意に対しては非常に脆弱であるため、悪意を持って運用してはならない。

コラム1:演技戦闘とは?

演技戦闘とはなんであるか。という問いかけに対して、筆者は「LARP上で起こる戦闘的解決を必要とする場面で、その演出をプレイヤーのそれぞれが安全かつ浪漫を体現する形で表現するための手法」であると答える。

筆者が「演技戦闘」のルールで意図しているのは、プレイヤーがそれぞれに持ち寄っている「こうありたい姿の自分」を実現し、大いに胸を張って誇りあえるようなコミュニケーション手段として活用されている状況だ。

そこには、体格差・性差・年齢差などの違いを乗り越え、互いの表現したい事柄の尊重と切磋琢磨を是とする向きがあって欲しいと切に願っている。

演技戦闘のルールは、自己と他者の表現を物理的に判定行為をする上で、より安全な形で高め合うために定められたものである事を、ご承知おき願いたい。

コラム2:防御側の立ち振る舞いへの指針

演技戦闘は、攻撃側を「強者」。防御側を「弱者」と見做して『弱者の判断が優先される』事で危険行為を抑止する指針に基づき作成されている。

しかしながら、この仕組みには弱点があり「攻撃側の武器の取り扱い」を演技しても、防御側がヒットを受けたり、武器や盾などでガードした際の演技指針については書かれていない。それは、まず安全を確保するために書かれたルールであったからだが慣れてきたプレイヤーに対しては不十分なルール・方針であると筆者も考えている。

以下に記載するのはルールではなく、あくまでも指針ではあるが、参考にする中でより演技戦闘をプレイヤーの方々が楽しんで下さったならばうれしい。

防御側がヒットを受けた際に、より演技戦闘として好ましいのは「打撃を受けたことによるふらつき演技」や「痛みに反応し、それをこらえて反撃する仕草」を行うことだと筆者は考えている。

他にも、攻撃側の武器を手に持った武器で受け止めた時、その武器をふるった攻撃側が防御側の演じるキャラクターよりも力強いキャラクターであったりしたならば「受けた武器の腕ごと弾かれてたたらを踏む」や「武器や盾が弾かれないように両手で支えて踏みとどまる」といった演技動作を行った方が『盛り上がる』のである。

勿論、単純な勝ち負けのレベルで考えればそのような「リアクション」は一方的に『自ら不利になる』愚行に他ならない。だがしかし、考えて欲しい。あなたが読んでいるこれは『戦闘』で勝つためのルールではなく『LARP中に起こる戦闘場面の演技を安全に互いに表現するための演技戦闘のルール』である。

なにより、防御側のリアクションがあることによって、攻撃側もアクションをより追求することが出来るようになる。演技戦闘の場面における『好循環』が期待できる。

是非、多くの方に『演技戦闘』を楽しんでもらえたならば幸いだ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする